魚も肉も一切の妥協なし 富士宮市「あざみ」
富士宮市狩宿の「あざみ」は、魚と肉、両方の持ち味を最大限に引き出す“二刀流”の和食処だ。名物は、10種類もの海の幸を豪快に盛りつけた海鮮丼。仕入れは毎朝、店主自らの目利きで決まる。特にマグロにはこだわっている。大ぶりにカットされた本マグロのトロは、艶やかでなめらか。口に入れた瞬間、脂がじわりと広がり、舌の上でとろけていく。赤身はメバチマグロ、エビやイカ、ホタテなども盛られ、丼の上はまるで宝石箱。海の幸の層をひと口ずつ確かめる楽しさがある。

肉厚のアジフライも自慢の一品。鮮度抜群のアジを細かめの生パン粉で丁寧に包む。175度の油でじっくり揚げることで、サクッとした衣の中にふわりとした身が現れる。下味がついているが、醤油を少しかけると、ご飯との相性がさらに際立つ。

さらに“当たればラッキー”な限定メニューがある。生本マグロのカマを煮付けた豪快な一皿だ。強火で一気に炊き上げることで、脂と身の旨味を凝縮。甘辛いタレが骨の周りまで染み込み、まさにご飯泥棒。

魚だけでなく、肉にも一切の妥協はない。使用するのは地元ブランド「赤富士豚」。250g超えの厚切りロースを、ほんのりピンク色が残る程度に揚げ、余熱で火入れを仕上げる。噛むほどに甘い脂がじゅわりと広がり、衣はサクッと軽やか。見た目の迫力とは裏腹に、驚くほどやさしいとんかつに仕上がっている。

魚と肉、どちらも譲らない店主のまっすぐな気持ちが、器いっぱいに伝わってくる。

あざみ
富士宮市狩宿53
TEL 0544-54-1777
営 11:30~14:15(最終入店13:00)/17:30~21:00(L.O.20:30)
休 月曜日
Pあり