出汁に誘われ、夏に出合う冷やしの極み 静岡市「らぁめん燦」

静岡市昭府。静清バイパス・昭府ICを降りてすぐに現れる「らぁめん燦」は、2022年春の開業以来、じわじわと支持を集めるラーメン店だ。ウッド調で清潔感のある店内に入ると、まず香るのは、鰹と昆布の和だしの香り。この時季だけの特別メニュー「冷やしらぁめん」は、その香りと涼やかな見た目で、夏の胃袋をくすぐる一杯。スープは、鹿児島県枕崎産と静岡県産の鰹節を合わせ、北海道の日高昆布で取った和風仕立て。島根県産の醤油をメインに、3種類をブレンドして重ねた奥行きもまたこの店らしい仕事だ。香味油には鴨の脂を用い、ふくよかな旨みをそっと添えている。主役の麺は、北海道産小麦「きたほなみ」を使用した東京の製麺所から取り寄せる細ストレート麺。噛むほどに小麦の風味と、冷えた出汁の旨みが絡み合い、喉越しも清涼。トッピングには低温調理の豚肩ロース、鶏モモチャーシュー、ナスやトマトといった夏野菜が並ぶ。麺と具材のバランスに、無駄がない。

冷やしらぁめん(1200円)※9月中旬まで
冷やしらぁめん(1200円)※9月中旬まで

さらにもう一杯。夏限定の「鴨つけ麺」は、名古屋コーチンの丸鶏と鶏ガラをベースにしたつけ汁に、魚介の出汁を加えた、奥深い味わい。注目は麺の扱いだ。なんと冷水ではなく、昆布出汁に麺を浸して提供するという工夫。つけ汁が薄まらず、最後の一口までしっかり旨みが残る。合わせる鴨ロースは焼き目をつけてから低温調理。しっとりと艶やかで、噛むほどにじわりと香ばしさが広がる。

鴨つけ麺(1300円)※9月中旬まで
鴨つけ麺(1300円)※9月中旬まで

看板メニューの「醤油らぁめん」は、鴨と豚肩ロースのダブルチャーシューが乗った端正な一杯。やわらかな和の味わいに仕上がっており、遠方からのファンも多い。

醤油らぁめん(1000円)
醤油らぁめん(1000円)

もうひとつの注目は「煮干し中華そば」。香川・伊吹島の高級いりこ、九州産平子煮干し、焼きうるめを贅沢に使い、タレはシンプルに醤油のみ。中太ちぢれ麺と濃密な煮干しのスープが絡み合い、力強い余韻を残す。

煮干し中華そば(1000円)
煮干し中華そば(1000円)

一杯ごとに誠実な手仕事が宿る「らぁめん燦」。この夏、その丁寧な一杯で、心と身体を整えてみてはいかがだろう。

出汁に誘われ、夏に出合う冷やしの極み 静岡市「らぁめん燦」

らぁめん燦
静岡市葵区昭府2-15-22
営 10:30~14:30
  18:00~20:30 ※金・土・日のみ
休 火・第2 第4 月曜日
Pあり