港町で味わう、極上の煮穴子重 海の香りと職人技が詰まった一膳 沼津市「あじや」

港町・沼津の香りを胸いっぱいに感じながら、黄色いのれんをくぐる。千本港町「沼津みなと新鮮館」の一角にある「あじや」は、魚好きなら一度は立ち寄りたい人気食堂だ。2009年のオープン以来、観光客の胃袋を支えてきた。運営するのは「沼津魚仲買商協同組合」。仲買人たちが選び抜いた魚介を、鮮度そのままに提供している。看板メニューは、重箱からはみ出すほどの迫力を誇る「煮穴子重」。ふっくら柔らかく煮上げたアナゴが4枚、重箱の上に豪快に横たわる。その存在感だけで、思わず唾をのむ。甘めのタレは、しょうゆ・酒・みりんをベースに、何年も継ぎ足して育ててきたもの。旨みが層のように重なり、アナゴにしっとりと絡む。仕上げにバーナーで炙ることで香ばしさが立ち上がり、湯気とともに立ちのぼる香りが食欲をかき立てる。ご飯は酢飯か白米を選べる。酢飯にすると、アナゴの甘みと酸味が見事に調和し、口の中で旨みがほどけていく。添えられた生ワサビを少しのせれば、清涼感が広がり、味わいが一段と引き締まる。

煮穴子重(2200円)
煮穴子重(2200円)

もちろん「あじや」といえば、店名の通り“アジ”が主役の一皿も欠かせない。「アジフライ」「アジのたたき」「アジの干物」と、3つのアジを堪能できる名物定食は、港町ならではの贅沢だ。衣がサクッと軽いアジフライは、自家製のピクルス入りタルタルソースが決め手。タルタルの酸味がアジの甘みを引き立て、箸が止まらない。香ばしく焼かれた干物は、噛むほどに旨みがにじみ出る。そしてアジのたたきは、プリッとした弾力とほどよい脂。口に入れた瞬間、海の香りがふわりと広がる。

あじづくし定食(1980円)
あじづくし定食(1980円)

エビフライと刺身がセットになった定食も人気。有頭ブラックタイガーを2本、175℃の油でじっくり7分半。衣は香ばしく、中はふっくらとした身が弾む。頭のミソまで味わえば、濃厚な甘みが舌に残る。さらにアジのたたきと刺身2点が付くから、ひと皿で海の幸の競演が楽しめる。

大満足定食(2550円)
大満足定食(2550円)

もう一品の名物「金目鯛姿煮定食」は、国産金目を甘辛く煮付けた逸品。しょうゆ・みりん・ざらめを煮立て、ショウガで香りを添える。煮汁が染み込んだ金目鯛は、身がふっくらとほぐれ、上品な脂が口の中で静かに広がる。思わず白ごはんをかき込みたくなる味わいだ。

金目鯛姿煮定食(1850円)
金目鯛姿煮定食(1850円)

沼津港の風を感じながら、地魚を味わう。ここ「あじや」には、港町の豊かさと職人の誠実さが、ぎゅっと詰まっている。

港町で味わう、極上の煮穴子重 海の香りと職人技が詰まった一膳 沼津市「あじや」

あじや
沼津市千本港町128-1沼津みなと新鮮館内
電話番号:055-964-1400
定休日:第2・第4火曜日
営業時間:平日 9:30-14:30 L.O.
土日祝 9:00-14:45 L.O.
Pあり