11時間炊きの白濁スープに九州男児の魂が宿る 静岡市「替玉屋」

 静岡市清水区堀込。九州の香りを漂わせるのぼりが揺れる――「替玉屋」。博多名物・豚骨ラーメンの専門店として15年、地元で愛され続ける存在だ。
 店主の野口建さんは佐賀出身。豚骨文化の根付く九州で育ち、「静岡に本格的な豚骨ラーメンを広めたい」との想いから、清水区北矢部で開業。その後、カウンターのみの前店舗から現在地へ移転し、より多くの客を迎え入れられる店へと進化した。
 看板の「王道博多らーめん」は、スープにこそ真髄がある。前日に血抜きし、翌日アクを取り除いてから本炊きする。完成までに約11時間。さらに「呼び戻し」と呼ばれる製法で、熟成させたスープに新しいスープを継ぎ足す。この地道な積み重ねが、深くまろやかな旨味を生み出すのだ。
 麺は福岡から直送されるストレートの細麺。しなやかで歯切れのよい“パツン”とした食感がスープと絶妙に調和する。注文時に「はりがね」「粉おとし」と茹で加減を選べるのも博多流。茹で時間わずか10秒の「はりがね」は、芯が残るほどの歯応えで常連客に人気だ。
 卓上の調味料で味変も自由自在。紅ショウガで軽やかに、ニンニクチップで香ばしく、からし高菜を加えればピリ辛の刺激がスープを一変させる。大盛り無料に加え、木曜は替玉1回サービスという太っ腹な心遣いもうれしい。

王道博多らーめん(800円)
王道博多らーめん(800円)

麺のゆで加減はお好みで
麺のゆで加減はお好みで

 辛党には「豚辛(とんから)らーめん」がおすすめ。豆板醤、コチュジャン、韓国唐辛子など4種の辛味をブレンドし、豚骨のコクと辛さのバランスが見事に融合している。体の芯まで温まる一杯だ。

豚辛らーめん(980円)
豚辛らーめん(980円)

 また平日限定の「長崎ちゃんぽん」も隠れた人気。豚骨と鶏ガラを合わせたやさしいスープに、魚介や野菜の旨味が重なる。野口さんいわく「スープがすべて」。季節によって味を微調整するというこだわりが、飽きのこない美味しさを支えている。

長崎ちゃんぽん(1050円)
長崎ちゃんぽん(1050円)

 “清水で博多を味わうならここ”。長年通う常連の言葉が、そのままこの店の信頼を物語る。

11時間炊きの白濁スープに九州男児の魂が宿る 静岡市「替玉屋」

替玉屋
静岡市清水区堀込177-1 ガイア敷地内
電話番号:054-660-1950
定休日: 月曜日
営業時間:11:00-14:30
※土日は-15:00
17:30-21:00 L.O.20:30
※なくなり次第終了
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