旨味がしみ込む一粒一粒 湯気の向こうに季節が見える 浜松市「かなざわ」
旬の食材を、炊きたての釜めしで味わう——。浜松市中央区雄踏町にある「和食と釜めし かなざわ」は、創業31年を数える老舗の和食店だ。落ち着いた雰囲気の店内にはテーブル席と座敷席があり、友人同士や家族連れでゆっくりと食事が楽しめる。この店の看板は、季節ごとに変わる釜めし。浜名湖産を中心にした国産ウナギや、旬の素材を使った限定メニューが並ぶ。中でも評判なのが「静岡美味鳥(びみどり)と秋野菜釜めし膳(上)」だ。地元・静岡の銘柄鶏「美味鳥」を使い、たまり醤油と濃口醤油で漬け込み、しっかりと下味をつけてから炊き上げる。お米は地元契約農家から仕入れる「きぬむすめ」。釜めしの具材が引き立つよう、あっさりとした粘り気の少ない米を選んでいる。ささがきごぼう、細切りのニンジン、旬のマイタケやシメジを重ね、仕上げに「美味鳥」をのせる。自家製のだしは、かつお節と北海道産マコンブから丁寧にとったもの。固形燃料で炊き上げること約20分、ふっくらとした香りが立ちのぼる。ふたを開ければ、秋の香りがふわりと広がる。キノコの旨味が米に染み込み、脂ののった美味鳥は噛むほどに味が増す。薬味にはネギやすだち、塩昆布のほか、柚子胡椒が添えられており、途中で味を変えて楽しめるのも魅力だ。特に柚子胡椒は、だしをかけてお茶漬けにする際のアクセントとして人気が高い。釜めし膳には天ぷらや刺身、茶碗蒸しが付き、ボリュームも十分。マグロと真鯛、スルメイカの刺身、海老と野菜の天ぷら、だし香る茶碗蒸しが一度に味わえる。
もう一つの名物、「国産うなぎ釜めし膳(上)」も外せない。浜名湖や三河、鹿児島から仕入れる国産ウナギを使い、かば焼きと特製だしを合わせて米とともに炊き上げる。ふっくらとした身に、ウナギの旨味が一粒一粒まで染み込み、うな丼とはひと味違う上品な味わいだ。
さらに、北海道産のホタテを三種盛りにした「ほたて釜めし膳」、彩り豊かな「花かご膳」、ボリューム満点の「特製天丼」など、食の楽しみが広がるメニューも多い。
湯気の向こうに季節が見える、と言っても過言ではない魅力がここにはある。
和食と釜めし かなざわ
浜松市中央区雄踏町宇布見4061-5
電話番号:053-596-3035
定休日:火曜日のディナー・水曜日
営業時間:ランチ 11:00~14:30(13:45 L.O.)
ディナー 17:00~21:00(20:00 L.O)
Pあり
