素材の持ち味MAX　世界でも珍しい“ニョッキ専門店”の物語　静岡市「PaPa」

柔らかな照明に包まれた小さな空間が広がる。「ニョッキのお店PaPa」は、全国でも珍しい“ニョッキ専門店”。オープンして23年、静岡市葵区神明町に2018年に移転してきた。厨房に立つのは、ニョッキに惚れ込みこの道を極めた店主の大條敏さん。パスタの一種に数えられるニョッキを、PaPaではじゃがいもと小麦粉、チーズと塩のみで仕込む。卵は使わず、素材の持ち味を最大限に生かす製法だ。まず味わいたいのは、「黒毛和牛ラグーソース チーズニョッキ」。静岡県産黒毛和牛を赤ワインと香味野菜でじっくり煮込み、チーズをまとったもちもちのニョッキに絡める。柔らかくほどける肉の旨みと濃厚なソースが、口の中でとろけるように広がる。

季節限定「海老芋ニョッキ」は、磐田産の旬の海老芋を使用。上品でねっとりとした海老芋を蒸し、小麦粉と塩だけで練り上げたニョッキに、アンチョビの旨みを重ねたクリームソースを合わせる。シンプルながら深いコクと香り。静岡の秋をまるごと頬張るような味だ。

「秋の味覚のグラタン風チーズニョッキ」も季節限定メニューだから見逃せない。旬のキノコをたっぷり使い、ベシャメルソースを使わず軽やかに仕上げた熱々の一皿。ハフハフしながら頬張る幸せがある。

ディナー限定の「カジュアルニョッキセット」には、手づくりの前菜盛り合わせと生ハムサラダが添えられる。メインは4種類から選べるニョッキ。1番人気の「ゴルゴンゾーラクリームソース ニョッキ」は最初に店主が感動した味を再現した、店の原点ともいえる一皿だ。青カビチーズの塩気とじゃがいもの甘みが溶け合い、ワインが進む。

食後は静岡市足久保の抹茶を練り込んだニョッキ入りパフェで締めくくりを。金粉がのったミニニョッキにバニラアイスとグラノーラを添えた遊び心のあるデザートは、子どもにも人気だ。

ご夫婦二人で営む小さな厨房から生まれる一皿一皿に、確かな温もりが宿る。「ニョッキで、静岡の食材をもっと楽しんでほしい」――その想いが、今日もふわりと湯気の向こうに立ち上る。

ニョッキのお店PaPa
静岡市葵区神明町18-17
電話番号：054-374-9620
定休日: 月曜日のディナー・火曜日
営業時間:ランチ 11:00~14:00（13:30 L.O.）
ディナー 17:00~21:30（20:30 L.O.）
P1台