食べればつながるペルーの食卓 ラテンの記憶が立ち上る 静岡市「エル サボル」

 JR静岡駅北口から歩いて5分。ビルの一角に、鮮やかな色彩とスパイスの気配をまとった店がある。静岡市葵区昭和町のペルー料理店「EL SABOR(エルサボル)」だ。店名はスペイン語で“自分の味”。仲西ケイシェフが母国ペルーで学び、現地の名店を訪ね歩き、自らの解釈を重ねて辿り着いた答えを掲げている。
 まず味わいたいのは、ペルーを代表する家庭料理セビーチェ(魚のマリネ)。真鯛の白身をライムで締め、ペルーの唐辛子アヒ・リモの刺激を忍ばせる。塩とコショウ、パクチーの清涼感が重なり、さっぱりとした酸味の奥からほのかな甘みが顔を出す。添えられたサツマイモとトウモロコシが緩急をつくり、口の中で味の波が交差する。

セビーチェ(1870円)
セビーチェ(1870円)

 そこに合わせるのが、紫トウモロコシから生まれるチチャモラーダ(紫トウモロコシのジュース)。果実とシナモンを煮出した甘やかなジュースが、セビーチェのライムの酸をやさしく受け止める。料理と飲み物が互いを引き立てる構図までが、ペルー流だ。

チチャモラーダ(550円)
チチャモラーダ(550円)

 ロモ・サルタード(牛肉の野菜炒め)は火力が命。強火で一気に炒めた牛肉に、醤油とオイスターソース、酢のニュアンスが絡む。太めに切ったタマネギとトマトが食感を残し、噛むたびに旨味が増していく。ペルー料理の懐の深さを物語る。

ロモ・サルタード(1540円)
ロモ・サルタード(1540円)

 海鮮の旨味を凝縮したアロス・コン・マリスコス(シーフードライス)は、リゾットのようにしっとりと仕上げる。イカやエビ、ムール貝の出汁が米粒一つ一つに染み込み、スプーンを進めるほどに潮の香りが膨らむ。

アロス・コン・マリスコス(2090円)
アロス・コン・マリスコス(2090円)

 ペルー料理は少し辛い目だが、日本人の舌に歩み寄り控えめに。それでも芯にあるのは、遠い国の家庭の味だ。昭和町の小さな扉を開ければ、静岡にいながらペルーの食卓へと席がつながる。

食べればつながるペルーの食卓 ラテンの記憶が立ち上る 静岡市「エル サボル」

EL SABOR
静岡市葵区昭和町10-12 まるよしビル2F
電話番号:080-6026-7606
定休日: 日・月
営業時間:17:00-23:00
近くにコインPあり