昆布と豚骨の旨みを重ねた看板ラーメン 焼津市「カナキン亭本舗」
ラーメンの楽しみは、最初のひと口で決まらない。途中で酢を入れる。ニンニクを足す。豆板醤や唐辛華で辛みを重ねる。焼津市八楠の「カナキン亭本舗 八楠店」は、食べる側が味を動かせる余白まで含めて、長く親しまれてきた中華そば専門店だ。
看板は「カナキン麺」。麺は自家製の中太ちぢれ麺で、コシがあり、つるりとした口当たりを持つ。スープは豚骨をベースにしたあっさり系で、5時間ほど煮込む。長年受け継がれる返しダレに背脂を加え、昆布、豚骨、野菜の旨みを重ねる。具材のメンマ、チャーシュー、キムチはすべて自家製。辛さだけで押すのではなく、具のひとつひとつまで店の味として整えた1杯だ。
卓上の調味料も、この店では重要な役割を持つ。ニンニク、豆板醤、唐辛華、チリビネガーを組み合わせ、味変を楽しむ。おすすめは酢を入れる食べ方。スープの後味がさっぱりして、麺をすすり直したくなる。1杯の中で表情が変わるから、最後まで同じ調子で終わらない。
「もりつけ麺」は、並盛りで麺1.5玉と食べ応えがある。つけ汁には酢が入り、暑い時期でも軽く食べ進められる味。角切りのチャーシューも入り、噛むたびに肉の旨みが出る。つけ麺らしい量の満足感がありながら、酢のきいた後口で重くなりすぎない。
遊び心で選ぶなら「プロペラ麺」。カナキン亭オリジナルの唐辛華を使った辛旨のラーメンで、先代が飛行機好きだったことから生まれた。卵をライト、チャーシューをプロペラ、器を機体に見立てた一品。見た目のユーモアが先に来るが、辛さの中に旨みがあるため、味の印象もきちんと残る。
夏には冷やし中華もある。スープはやや多めで、甘酸っぱい味。具にはチャーシュー、メンマ、キムチ、卵がのる。つるっとした麺にスープがよく絡み、暑い日に欲しくなる軽さがある。看板の温かい一杯から、つけ麺、辛旨、冷やしまで。カナキン亭本舗 八楠店には、通うたびに違う食べ方を選べる楽しさがある。
カナキン亭本舗 八楠店
住所:焼津市八楠1丁目5-6
電話番号:054-629-9943
定休日:なし
営業時間:11:00-21:00( L.O.20:45)
Pあり