店主の「好き」を曲げない、金賞カレーうどん 富士市「俺が食堂」

 自分が食べたいもの、自分が好きなものを出す。その言葉に遠慮はない。新東名高速道路の新富士インターチェンジから車で約20分の「俺が食堂」は、横浜から移住してキャンプ場を始めた瀧澤尊広さんが、2025年8月に開いた店だ。木の温もりを感じる店内で味わえるのは、驚くほど硬いうどん、朝挽きのそば、厚切りの肉料理。店名の通り、瀧澤さんの好みが料理の基準になっている。
 看板メニューは、全国大会で金賞を受賞した「和風カレーうどん」。麺に加える水分を限界まで抑え、富士吉田のうどんを思わせる強い硬さに打ち上げる。なめらかに飲み込むというより、しっかり噛んで小麦を味わううどんだ。カレーにはガラムマサラやターメリックなど、4~5種類のスパイスを独自に調合。初めて食べた客が驚くほど、濃いコクと深みを持たせている。

店主・滝澤さんのこだわりがこの一杯に凝縮されている
店主・滝澤さんのこだわりがこの一杯に凝縮されている

 カレーに入れる豚肉も個性的だ。千葉県の畜産工場で育てられた親豚を使う。肉質には硬さがある一方、味は濃く、牛肉と勘違いする人もいるという。さらに、市販の油揚げではなく、木綿豆腐を自ら揚げて加える。硬いうどん、濃い味の親豚、自家製の油揚げを、スパイスの効いたカレーでまとめる。万人向けに角を丸めるのではなく、瀧澤さんがうまいと思うものを突き詰めた結果が金賞につながった。

牛じゃありません豚肉です
牛じゃありません豚肉です

 季節のおすすめは、桜えびのバラ揚げをのせた「冷やしぶっかけそば」。そば粉には茨城県産のブランド品種「常陸秋そば」を選ぶ。北海道や長野など各地のそばを試した末、香り、粘り、喉越しのすべてで優れていると判断したという。毎朝そばの実を挽き、続けて打ち、その日の客へ提供する。

冷やしぶっかけ桜えび蕎麦(1419円)
冷やしぶっかけ桜えび蕎麦(1419円)

 肉料理では「厚切り牛タン」が人気。使うのは、牛タンの中でも脂の多いタン元だけ。厚く切って筋を入れ、甘辛いショウガだれで仕上げる。噛み応えを残しながら、脂の旨みが口へ広がる。厚切りだからこそ味わえる弾力があり、麺料理とは別の満足を与えてくれる。

厚切り牛タン(1969円)
厚切り牛タン(1969円)

 「ホルモン炒め」は、ニンニクじょうゆを効かせたスタミナ料理。白いご飯にも合うが、酒のつまみとしても選びやすい。店主の好物だけを出す店らしく、味付けにも迷いがない。

国産ホルモン炒め(1089円)
国産ホルモン炒め(1089円)

 瀧澤さんの料理には、硬さも濃さもはっきりとした理由がある。評判に合わせて好みを変えるのではなく、自分が食べたい味を、素材選びから仕込みまでやり切る。店名の「俺」は単なる勢いではない。誰の舌を基準に作った店なのか、カレーうどんをひと口噛めばよく分かる。

店主の「好き」を曲げない、金賞カレーうどん 富士市「俺が食堂」

俺が食堂
住所:富士宮市富士見ケ丘419-1
電話番号:090-2477-9557
定休日:月・火曜日 ※祝日は営業
営業時間:11:30-14:00 / 18:00-20:00
Pあり