【袴田事件】2014年に再審開始を認めた当時の裁判長が検察の即時抗告の翌日に検察に反論する意見書を東京高裁に提出
いわゆる袴田事件を巡って、2014年に袴田巌さん(87)の再審開始を認めた当時の静岡地裁の裁判長が、再審開始決定に不服を申し立てた検察に反論する意見書を、東京高裁に提出していたことが分かりました。
袴田巌さん(87)は1966年に旧清水市でみそ会社専務一家4人を殺害したなどとして、死刑が確定しています。
10月27日再審初公判が開かれ、姉のひで子さんが「弟に真の自由をお与え下さい」と改めて無実を訴えました。
袴田さんは当初から無実を訴えていて、2014年2度目の再審請求で、静岡地裁は再審開始を認めるとともに、袴田さんの釈放も決めました。
これに対し検察側は決定を不服として東京高裁に即時抗告。
2018年、一度は再審開始が取り消された経緯があります。
検察の即時抗告に対し反論する意見書を東京高裁に
今回、9年前に再審開始を決定した静岡地裁の当時の裁判長で、現在は弁護士の村山浩昭元裁判長が、2014年の検察の即時抗告に対し反論する意見書を東京高裁に提出していたことが分かりました。
村山元裁判長が取材に対し明らかにしたもので、裁判所が検察の抗告に反論する意見書を提出するのは異例だということです。
村山元裁判長によると意見書は検察の即時抗告の翌日に提出したとしていて、いわゆる「5点の衣類」に付着した血痕のDNA鑑定や、色の変化に関するみそ漬け実験は、地裁で十分に審理がされているとして、検察の抗告には理由がないと主張したということです。
静岡地裁が再審開始を認めてから再審が始まるまで9年。
村山元裁判長は「早期の再審開始が求められると判断したため、提出した。今回、再審が始まってほっとした。早く審理をして無罪判決が出ることを期待している」とコメントしています。