「誤解を招く発言」「議員も誰も知らない」 議会軽視か? 川勝知事の発言に県議から批判噴出 静岡
静岡県議会文化観光委員会 杉山盛雄委員(23日):「三島にピンポイントで、東アジアのレガシーだか何だか知りませんが、それをつくるために自分が勝手に、ベラベラベラベラ、県議会議員も誰も一人も知らない。部も知らない。これが詰めの段階に入っているということを発言したことが大きな問題なんです」
構想段階で公の場で発言
23日行われた静岡県議会文化観光委員会。議論のテーマは、12日に川勝知事によって発せられた“ある発言”についてです。
静岡県 川勝平太知事(12日):「三島を拠点にしまして、富士山、それから伊豆半島両方に出入り口ができるので、そこに東アジア文化都市の発展的継承センターのようなものを置きまして、今、土地を物色していると。実際は国の土地を譲って頂こうということで、今、詰めの段階に入っておりますけども」
“詰めの段階まで来ている”。「三島市に東アジア文化都市の拠点を置きたい」という内容を、構想段階にも関わらず公の場で発言してしまったことが大きな問題となりました。
この翌日、自民会派からは「議会を軽視している」と声が上がり、県議会最終日に緊急の質疑が行われました。
自民改革会議 河原崎聖県議(13日):「緊急質問をさせていただきます。けさになり、目を疑うような記事が一部新聞紙上に報道されました。しかしながら、この話は議会として承知していないばかりか、我が会派所属の地元・三島市選出の県議すら、全く聞いておりません。これでは知事がこれまで本会議や委員会の中で繰り返し述べてきた、議会とのコミュニケーションを密にしたいとの発言は何だったのか、ということになります」
川勝知事「まだアイデアにすぎない」
川勝知事(13日):「私の発言の真意についてであります。この発言は東アジア文化都市の取り組みを一過性に終わらせることがないよう、そのレガシー創出に向けた私の思いを語ったものであります。しかし、まだ一つのアイデアに過ぎません。何も決まっていないのが現状であります。今後、県議会の皆様をはじめ、市・町や県民の皆様のご意見を伺いながら、万機公論のもと透明性を持った議論を進めて参りたいと考えております。議会の皆様とコミュニケーションをはかる努力をしていくというように答弁した私の考えは変わっておりません」
今回の発言を「あくまでアイデア」とした川勝知事。ただ、自民改革会議からは「内容が具体的」だとする声が上がりました。
川勝知事(13日):「今回の発言が不穏当なものであるかというご質問でありますが、不穏当なものであるとは思っておりません」
県議会文化観光委員会では批判の声
こうした川勝知事の発言を受け、開催された県議会文化観光委員会。
文化観光委員会 遠藤行洋委員(23日):「何1つ決まっていないにも関わらず、知事があのような発言をした、これが問題だと思っている」
文化観光委員会 四本康久委員(23日):「三島だとか、土地を物色しているだとか、詰めの段階に入っております、というような発言は失言とまではいかないが、誤解を招く発言だと思う」
文化観光委員会 大石健司委員(23日):「例を挙げて、私の言っていることは夢ではないということを、知事が経済界の方々にしゃべったということが、時期尚早も甚だしい」
川勝知事の発言に、批判の声があがりました。
文化観光委員会 遠藤行洋委員(23日):「これは単なる案ではなくて、実際に実務ベースで進んでいることですよね? あの議場での知事の答弁は、私は事実と違うと思うのですが、そのへんについてはいかがですか?」
静岡県スポーツ・文化観光部 村松毅彦部長:「部局としては、まだ検討できる環境には至っていないと認識していた。土地については経営管理部のほうで情報の収集をしていますが、正式に決まったものではないと聞いている」
発言当日、「詰めの段階」とまで言及した川勝知事。ただ、実際は施設の整備について「正式に決まったものではない」ことが明らかになりました。ただ、計画が進んでいるともとられる答弁もありました。
「富士山で言うなら何合目?」
文化観光委員会 杉山盛雄委員(23日):「土地の物色に関しても詰めの段階、そして定借(定期借地)まで言葉が出ている。先日リニアか何かの関係で、今富士山の1合目だとか2合目だとか話していたが、これ富士山で言うなら何合目ですか?」
静岡県スポーツ・文化観光部 村松毅彦部長:「土地についてどのような状況になっているかについては、詳細について私のほうでは把握をしておりません。ただ活用に関しては、5つあるうちの1つということで、ずっと聞いていたので、そういった意味で今回の発言について、富士山を登り始めたとは認識をしております」
この日、川勝知事は…
23日、県議会の文化観光委員会と、同じ時間帯に行われた定例記者会見。川勝知事の言い分は…。
川勝知事:「東アジア文化都市のレガシー創出に向けた私の考えは関係部局に伝えておりますが、まだ一つのアイデアに過ぎなくて、何も決まっていないのが現状です。これに関連する集中審査が、本日(23日)、文化観光委員会、また、25日に総務委員会で集中審査が開催されますので、この場での、これ以上の発言は控えさせていただきます」
再び川勝知事の発言によってもたらされた“混乱”。25日に行われる予定の総務委員会では、用地などについて質疑が行われる見通しです。