高市内閣が重点的に投資する戦略分野の一つに造船業の再生が 静岡県内の造船業の現状は

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高市早苗総理大臣
「今回の経済対策全体の規模は一般会計で17.7兆円程度。いわゆる真水は21.3兆円程度を見込んでいます」

公明党が求めていた「児童手当への1人一律2万円の上乗せ」のほか、維新が物価高対策の「一丁目一番地」とする、電気・ガス代の補助は、来年1月からの3カ月間で1世帯7000円程度となりました。

 地方自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」には2兆円を計上し、物価高騰を踏まえて、原則1人3000円相当、「おこめ券」の配布といった食料品に関する支援も打ち出されました。

カナサシ重工

「第2の柱は、危機管理投資、成長投資による強い経済の実現です」

 17ある重点戦略分野の一つが、「造船」です。

21日策定した総合経済対策にも、造船業の再生のため、
官民で総額1兆円規模の投資を盛り込みました。

 静岡市清水区で100年以上の歴史を持つ、「カナサシ重工」。

静岡県内で唯一、貨物船をメインに建造・修繕を手掛けています。

Q.こちらではどんな作業を?

カナサシ重工 村上雅臣社長
「今行っている作業は、船を造るためのブロックを造る工程。まず小さなブロックを造り、「小組」の状態から「大組」という大きなブロックを造っていく」

 大きな船も、小さな構造体の組み合わせです。

 パーツからブロックを造り、そのブロックをつなぎ合わせて…。

 ブロック一つで、100トンを超えるものもあります。

カナサシ重工 村上雅臣社長
「強度を保つ構造を造りながら、船にしていく」

 造っているのは、石油や液化ガスなどを運ぶ「タンカー船」。

 組み立てには、およそ3カ月かかるといいます。

カナサシ重工 村上雅臣社長
「クレーンでブロックを積み重ねて、つなぎ合わせて船の形にしていきます」

カナサシ重工
カナサシ重工

設備の老朽化と人手不足が課題

 こちらは、全長130メートル、幅21メートル、積載量およそ1万トンの貨物船。

 カナサシ重工で建造する船では、トップクラスの大きさです。

カナサシ重工 村上雅臣社長
「(仕上げ作業後)実際に海上運転に移り、いろいろなテストを受けて、そういったものをクリアして完成した上、お客さんに引き渡す」

 年間3隻から4隻の船を建造し、100隻以上の修繕を手掛ける中、“ある問題”に直面しています。

カナサシ重工 村上雅臣社長
「設備の老朽化が効率アップを妨げるというか順調にいっていない。日本全国で言われる人手不足が造船業界にもあり、(建造まで)今は3~4年待っていただく状況」

 以前は早ければ、1年半ほどで船を引き渡せたそうですが、設備の老朽化や人手不足により、ニーズに応える供給ができない状況だといいます。

 今後建造量を増やしていくためには、大規模な設備投資が不可欠。

 しかし、海運業界は好不況の波が激しく、民間のみでの大規模投資は困難で、政府による支援が重要になるといいます。

カナサシ重工 村上雅臣社長
「(従業員の)賃金アップにつなげていきたいし、古くなった設備の更新を行って、より効率アップして、品質の良い船を造って競争していきたい」

 かつては建造量世界トップだった日本の造船業ですが、近年は中国が市場支配を強め、去年は全世界での新規受注の7割を占めました。

 軍事用も含めて建造能力を高める中国を念頭に、日本とアメリカは、造船分野で協力を進めていくことで一致しています。

 果たして、高市政権の成長戦略で、“日の丸造船”は復活へと向かうのでしょうか。

カナサシ重工 村上雅臣社長
「静岡も物流の拠点で、船の活躍は必要なので、国を挙げて造船業界を支援していただくのは大変期待が持てる。今からでも(建造量を)回復していくことが日本にとって必要なことだと思う」

カナサシ重工
カナサシ重工