「涙が止まらない」廃業から1年…伊東のソウルフード復活 『祇園のいなり寿し』に長蛇の列 430個が開店2時間で完売
「涙が出た」オープン前から長蛇の列
板垣亮記者:「伊東の老舗弁当店“祇園”。29日の再オープンを前に、多くの人が列を作っています」
午前9時。
祇園関係者「ではオープンいたします!どうぞ~」
客のお目当ては…
客(伊東市民)「お店の前に立ったら感動しちゃって涙が止まらない」
客「お揚げさんの味。甘い感じ」
伊東市のソウルフード「祇園のいなり寿し」。29日、復活を果たしました。
甘く味付けされた油揚げ。「いなり寿し」には欠かせない存在です。
JR伊東駅前(26日)
伊東市民:「昔は200円だった。たまにお袋が弁当を作ってくれない時にいなりを買った」
伊東市民:「毎週買っていた。本当においしかった」
伊豆市民:「ちょっと甘辛い、ちょっと濃い」
伊東市民:「新婚旅行の時ここに来た、ハトヤに。ハトヤのそばに(店が)ある」
大場舞桜アナウンサー:「復活する」
A.「そうなの。また買いたい」
80年近く愛された“伊東のソウルフード”
伊東市祇園本店(26日)
大場舞桜アナウンサー:「営業再開に向けて、急ピッチで準備が進められている祇園本店です。店の前には10月29日オープンと書かれています」
1946年に創業した「祇園」。看板商品は、甘く味付けした油揚げで、酢飯を包んだ「いなり寿し」です。1959年からは伊東駅で駅弁の販売をスタート。観光客や、鉄道の利用者にも弁当を届けてきました。しかし、去年9月、およそ80年続いた祇園に大きな転機が。原材料費やエネルギー価格の高騰などを背景に、全ての事業を停止する事態に追い込まれました。地元のみならず、観光客からも惜しむ声が上がる中、ほどなくして再出発を目指す動きが。
元従業員と挑んだ“伝統の味”再現
FJネクストホールディングス経営戦略室 伊藤賢志課長:「創業代表である肥田(会長)が伊東市出身ということで、祇園の廃業を聞いて復活させようというのが発端」
祇園を引き継いだのは、伊東市内で旅館などを経営するFJネクストホールディングスです。地域に根付いた老舗の味を、伊東の大切な食文化として残したい。そうした思いから、再開に向けた準備を進めてきました。
FJネクストホールディングス経営戦略室 伊藤賢志課長:「味をしっかり受け継いでいくことが、今回の承継で一番大事だった」
いなり寿しの味を再現に向け、本格的に動き出したのは今年の夏ごろ。その中でも、伝統の味を再現することが大きな課題でした。
祇園本店製造部 瀬戸文也係長:「お客さんに前のおいなりさんの味だねと言われたら、うれしい」
欠かせない存在となったのが、祇園を支えてきた元従業員。
祇園本店製造部 瀬戸文也係長:「温度や湿度で油揚げの煮る時間が変わってくるので、それを一定化させるのが難しかった。油揚げを煮るしょうゆの色などを確認しながら、新たに導入した糖度計を使って、味を一定化させた」
いなり寿しの決め手となる油揚げの味付け。当時のレシピを基に試作を重ね、およそ2カ月かけ、納得のいく味に辿り着きました。
祇園本店製造部 瀬戸文也係長:「自分たちの中では100%再現できている。前の女将さんや前社長もこの味だねと言ってくれたので、自信は持っている」
29日から販売となったのは「いなり寿し」と「いなりのり巻詰合せ」の2種類。
大場舞桜アナ試食
「ん~。薄めの油揚げに甘い味付けがしっかりしみ込んでいて、酢飯とのバランスも絶妙です。どこか懐かしい味わいです」
いよいよ迎えた販売日。オープン前から、並んだ客が次々といなり寿しを手にしていきます。大きなカゴを持参する客の姿も。
Q:いっぱい買いましたね
客「すごくうれしい。ご近所さんに頼まれた分があるので、個数制限があったらどうしようと思いながら来た。ここの味かなと確かめながら食べたい」
400個のいなり寿しを用意していましたが、あまりの売れ行きに急きょ30個増やして対応。それでも午前11時すぎには完売となりました。廃業からおよそ1年。地域で愛されてきた味を、次の世代につなぐ取り組みが始まりました。
FJネクストホールディングス 山本辰美執行役員:「まずは1年間味わっていなかった祇園の味をじっくり味わってもらいたい。これからも伊東の方々、伊東に観光で来る方々も含めて、いろいろな方にこの祇園のおいしい味を届けたい」
11月と12月は、JR伊東駅構内でも販売される予定です。