狩野川がアユが大好物のカワウ『天国』に 花火の音で追っ払っても、また… 静岡・伊豆市 /迷惑動物の現場(2) 

 静岡県東部を流れる狩野川。アユ釣りで知られています。伊豆市に姿を見せた真っ黒で大きな鳥。「カワウ」です。ペリカンの仲間で、体長およそ80センチと、大型の水鳥です。そのカワウの大好物が、アユなのです。

カワウ

狩野川漁業協同組合 井川弘二郎組合長:「放流したアユを食べてしまうし、天然で川を上ってきたアユも食べてしまう」

井川弘二郎組合長

 1日10匹近いアユを食べるカワウは、まさに“招かれざる客”です。

狩野川漁業協同組合 井川弘二郎組合長:「カワウが川に入っていると、アユも警戒心が強いので、おびえてしまって釣れない状態になってしまう。年々釣り人口も減っているので、川に釣り人がだんだん入らなくなってくると、余計にカワウの無法地帯になる。悪循環になっている」

招かれざる客

 地元の人によれば、カワウを見るようになったのは15年ほど前から。漁協の試算では、カワウによる食害の被害額は年間4500万円にのぼります(狩野川漁業協同組合の試算 昨年度)。

狩野川漁業協同組合 井川弘二郎組合長:「釣り客が『狩野川は釣れないから来ないよ』という現状があるので、カワウの対策をしないと、釣り客も戻ってこない」

 県によりますと、県内に生息しているカワウはおよそ1万羽。そのうち県東部には1000羽ほどがいるとみられています。

年間4500万円の食害被害

コロニーは13km離れた場所に

 カワウがアユを狙うのは伊豆市ですが、市内ではカワウの「ねぐら」や子育てをするための「コロニー」は確認されていません。

 一体、カワウはどこからやってきているのでしょうか。

 取材した場所から、直線距離でおよそ13キロ。向かったのは、狩野川の下流・函南町にある雑木林です。

13km離れた函南町に

 カメラを向けると、たくさんのカワウが。毎朝、ここから狩野川上流にあるアユの釣り場へと飛び立っているとみられています。

たくさんのカワウが

「ロケット花火」の音で威嚇も…釣り人いないとまた来る

 釣りの“おとり”になるアユを販売する店では、「ロケット花火」の音で威嚇して、カワウを追い払っています。

「ロケット花火」の音で威嚇も

スタッフ:追い払うとカワウはその日もう来ない?
飯田おとり店店主 松下充弘さん:「釣り人がいなくなると、やっぱり下りてくる。どこかで隠れているのかな。カワウが全部いなくならなくても構わない。少なくなればいい。少なくなれば違うと思う」

松下充弘さん

伊豆市の対策は

 今後カワウを駆除することを視野に、伊豆市は県や漁協と連携し、9月からドローンを使った調査を始めています。

伊豆市農林水産課 真壁翔也さん
「今後カワウが好んで止まる木にビニールテープをドローンを使って巻いて、カワウがそこに止まらなくなって、定着しない効果があるそうなので、まずはその対策を進めている。伊豆市内でカワウの巣・コロニーが見つかれば、繁殖抑制のためにドライアイスをドローンから投下して、卵を繁殖できないような状態にすることも考えています」

伊豆市農林水産課 真壁翔也さん