倒産件数去年の3.5倍…苦境のラーメン業界 「とにかく利益を出さないと…」 静岡市

 今や「国民食」と言っても過言ではない“ラーメン”。静岡県内にも数多くのラーメン店が存在しますが、このラーメン業界が今、全国的に苦境に立たされています。

 東京商工リサーチの調べによると、今年の1月から8月までに全国のラーメン店で28件の倒産があったといいます。この数字は前年の同じ時期に比べて3.5倍の数字です。

 新型コロナの影響が落ち着いたにも関わらず、倒産が急激に増えた背景には、食材費や光熱費の高騰、さらには人件費の増加があるようです。

今や国民食「ラーメン」

静岡市のラーメン店では

 静岡市内にも試行錯誤をするラーメン店がありました。

「麺処 汐のや」寺田浩光店主(静岡・駿河区 11日):「上がってないものがない」

 静岡市駿河区にある塩ラーメン専門店「麺処 汐のや」。開店から10年のお店です。

静岡市民30代 常連:「塩ラーメンってあんまり本格的にやっているところが少ないと思うので、塩ラーメンを食べたい時は、汐のやに来る」

静岡市民30代:「塩ラーメンが最高です」

富士市民50代 初めて来店:「ランチセットって言葉があったから、特に今回塩ラーメンで、セットで食べてちょうどいい」

お客さんは

 お客さんからも大好評の看板メニューは、鶏スープをベースにした「塩そば」。値段は700円。

 ただ、この1杯のラーメンを作るのにも、コストは以前と比べ跳ね上がっています。店を継続させるためにはどうすればいいか、常日頃考えているようです。

「塩そば」

「とにかく利益を出さないと…」

「麺処 汐のや」寺田浩光店主:「とにかく利益を出さないと話にならないので、値段を上げずにどうやったら利益を出せるか考えて、セットメニューを組み合わせてもらうほか、仕入れを、売り出しの時に買いだめするなど、ちょっとずつ、そういうところで利益を出せるように考えている」

寺田浩光店主

 ラーメンだけではなかなか利益が出しづらいため、餃子などのサイドメニューや、セットメニューなどを取り入れ、なんとか経営を成り立たせているといいます。

「麺処 汐のや」寺田浩光店主:「こういうご時世になって、ランチセットというのを始めて、ラーメンプラス200円でご飯が付くよっていうのをランチ限定ですけど。毎日は変えられないが、違う丼ものを提供できるように考えながらやっている。ただ、値段的に食べやすい値段じゃないと買ってくれないだろうし、そこをお客さんが求めているものと、しっかりこっちも考えて、これからもやっていきたいと思う」

セットメニューなど取り入れ

「物価高騰でみんな厳しい」

 前年の3.5倍に増えたラーメン店の閉店。飲食店を続けていくことの厳しさは周りの声からも感じているようです。

「麺処 汐のや」寺田浩光店主:「ラーメンだけじゃないと思うけど、そういった声は聞こえる。物価高騰でしょうね、たぶん。みんな厳しいのではないでしょうか物価高騰はみんな一緒ですし、月に使うお金を考えながら使っているのかなと」

 700円の塩そばは、オープン当初から値段を変えていないそうですが、状況やタイミングを見て、いずれは値上げをすることも考えているそうです。

「みんな厳しい」

「麺処 汐のや」寺田浩光店主:「常連さんや、気を遣ってくださるお客さんも多いですけど、それプラス一般のお客さんやサラリーマンの方たちのことも考えないと商売成り立たないと思うので、全体的なバランスを見て、そういう時期が来たら、(値上げを)決断したいなということを思っている」

 試行錯誤しながら続くラーメン店の経営。物価高騰の厳しい時代の中でも、お客さん第一主義で戦っていくといいます。

「麺処 汐のや」寺田浩光店主:「ラーメンに対する思いもありますけど、ここら辺と言えば、汐のやだよねっていうお客さんが10年やってだいぶ増えてきて、10年やっていまだに来てくれるお客さんがいるので、続けたいっていう気持ちは強い」