将棋タイトル戦の誘致合戦が激化…12年連続王将戦「第1局」開催の静岡・掛川市…なぜか今年は「第6局」に
八大タイトルを独占し、将棋界の歴史を塗り替え続けている藤井八冠。先日、その姿は掛川城にありました。
藤井聡太八冠:「掛川城の天守閣を見学して、掛川の地を一望できて、一瞬、掛川の城主になったような気分を味わうことができた」
イベントは『幻の第6局』の代わり
翌日には、地元の小中学生と対局。将棋界のスーパースターとの夢のような時間です。
藤井八冠と対局した中学生:「すごく貴重な体験で楽しかったし、学んだこともたくさんあって勉強になった。
一連のイベントは、本来掛川市で行われるはずだった王将戦第6局の代わりに行われたもの。藤井八冠が4連勝で防衛を決めたため、対局がなくなっていたのです。
12年連続「第1局」が今年は「第6局」に
2010年から王将戦の舞台に選ばれている掛川市。去年までは12年連続で第1局が開催されてきました。
なぜ、今年は第6局に変更となったのでしょうか。
市長に聞く『誘致合戦』
市のトップを直撃しました。七番勝負で先に4勝したほうが勝者となる王将戦。どの自治体も確実に対局が行われる第4局までを希望します。
白木愛奈アナウンサー:「市長としては、第6局までもつれ込んでほしいという思いもあったのでは」
静岡・掛川市 久保田崇市長:「一縷の望みをかけていたのですが、対局がなくなったのは残念な気持ちはありますね。ただ、やっぱり今はもう全国的に将棋のタイトル戦の誘致合戦が激化していまして、うちにも藤井さん来てほしいみたいな話がすごく多いので」
藤井八冠という新世代のスターの登場によって、異例の注目度となっている将棋界。タイトル戦を我が町で開催してほしいと、誘致争いも激しさを増しています。
掛川市では、市長のトップセールスで主催者にアピールしているといいます。
Q.藤井八冠が現れる前と比べて誘致の大変さというのは変わりましたか?
静岡・掛川市 久保田崇市長:「もう全然違いますね。例えば掛川市民だって藤井さん登場前は掛川市でタイトル戦をやってるというのも知らない人すらいたと思ってるんですよね。対局があると大盤解説会というのがあるのですが、以前はふらっと行けば入れたのですけど、今もう予約がいっぱいで、(定員の)10倍とか、ものすごく殺到する訳です。だから注目度が全然違いますよね」
掛川市では平成の天才と令和の天才の対局も
これまで掛川市で対局会場となってきたのが、掛川城の「二の丸茶室」です。
去年の王将戦は、令和の天才・藤井八冠に、平成の天才・羽生九段が挑む“世紀の対局”に。大注目の第1局がここで行われました。
静岡・掛川市 久保田崇市長:「世紀の対局なんて言われたのですが、第1局を掛川市で引き続きやることができたので、いつもずるいじゃないかって、他の開催地から見ればそんなふうに思われていると感じていました。全国的にうちの町にも来てほしいというところがありますので、主催者側も開催地を決めるのに、相当苦労されているのではないかと思います」
今年の王将戦の第1局から第3局の会場に選ばれたのは、いずれも去年第5局以降の開催地。主催者側の配慮を思わせる形となりました。
対局がなかった影響は
王将戦を掛川市で開催するようになって、初めて対局が行われなかった今年。その影響が大きかったのが…。
掛川グランドホテル 奥山覚士総支配人:「2年前や去年と比べて、注目が少ない」
そう話すのは、王将戦の勝負めしとおやつを手掛ける、掛川グランドホテルの総支配人。
掛川グランドホテル 奥山覚士総支配人:「2年前に藤井さんに勝負めしと勝負おやつを選んでいただいて、その後の反響がものすごくて、特にオリジナルケーキ「チャバタケ」の受注が多くなりまして、お客様にすぐにお届けできない状態が続いていました。売り上げ的には3倍ぐらい増えましたので。藤井さんの影響力はすごいなと思いました」
しかし、対局が行われなかった今年は…。
掛川グランドホテル 奥山覚士総支配人:「藤井さんがこちらに来て勝負めしのメニューも食べていただいたので、これから反響が出るのでは、と期待しています」
全国との競争になっている、将棋のタイトル戦の誘致。藤井八冠が現れる前から対局を開催してきた掛川市も、さらにPRを強化したい考えです。
静岡・掛川市 久保田崇市長:「私どもの思いは、引き続き伝えさせていただくというのはありますし、掛川の和栗とか地元の食材をもっと使ってもらうことなど、そういったことをもっとガンガンやっていきたい」
Q.将棋による町おこしというのはどうですか
静岡・掛川市 久保田崇市長:「将棋を通じて、あるいはそういった食事とかも含めて、この地元の良さが伝わる機会なので、それはすごくいいチャンスだと思いますね」