「なんくるないさ」が息づく優しき沖縄の家庭料理 袋井市「南来成咲」

袋井市上山梨に暖簾を掲げて18年。「南来成咲(なんくるないさ)」の扉を開けば、ゆったりとした島の空気に包まれる。壁に飾られた工芸品、流れる沖縄の旋律。ここで供されるのは、店主・玉寄明信さんの故郷の味をそのまま映したあたたかな家庭料理だ。まず試したいのは「ゴーヤチャンプル」のランチ。沖縄の代表的な料理は、こちらでも看板格だ。使うのは肉厚で甘みのある「あばしゴーヤ」。豚肉と炒め合わせたところに、ソーキそばのスープを注ぎ入れるのが店の流儀だ。スープが全体をまろやかにまとめ、苦みと旨みのバランスを引き立てる。スパムや豆腐、卵も加わり、箸を動かすごとに味わいが重なっていく。付け合わせの海ブドウは宮古島産。ぷちぷちと弾ける食感が、チャンプルの余韻をさらに楽しくしてくれる。

ゴーヤセット(1100円)
ゴーヤセット(1100円)

次に外せないのが「ソーキそば」。浜松の製麺所に特注する平打ち麺は、つるりとした喉ごしとしっかりとした歯応えを併せ持つ。スープはスペアリブを煮込んだ出汁にカツオの風味を重ね、清らかで奥深い。上にのるスペアリブは、しょうゆや泡盛、黒砂糖で3時間煮込み、骨からほろりと外れる柔らかさだ。口に入れれば、肉の旨みと甘辛い味付けがじんわり広がる。スープと麺、具材が三位一体となり、沖縄の食卓をそのまま体感できる一杯となっている。

ソーキそば(770円)
ソーキそば(770円)

彩り豊かな「タコライス」も人気だ。合いびき肉を沖縄直送のタコライスの素で炒め、スパイシーな香りをまとわせる。ご飯の上にはレタスとトマト、仕上げにチーズがたっぷり。熱々の肉と冷たい野菜、まろやかなチーズが重なり合い、ひと口ごとにリズムを刻む。シンプルながら完成度が高く、世代を問わず愛される理由がわかる。

タコライス(880円)
タコライス(880円)

そして店主の推しが「沖縄焼きそば」。ソーキそばに使う平打ち麺を野菜とともに炒め、目玉焼きを二つのせる。太めの麺はもちもちと弾力があり、ソースの香ばしさをしっかりと受け止める。半熟の黄身を絡めれば、濃厚さが加わり、一皿の中で味が変化していく。地元客に沖縄の麺を味わってほしいという思いから生まれた一品で、家庭的な温もりが伝わってくる。

沖縄焼きそば(825円)
沖縄焼きそば(825円)

ゴーヤの苦みで体を整え、ソーキそばで心を満たし、タコライスで食欲を刺激し、やきそばで笑顔になる。「命さえあればなんとかなる」。店名の由来となった祖母の言葉を胸に、店主は今日も鍋を振るう。

「なんくるないさ」が息づく優しき沖縄の家庭料理 袋井市「南来成咲」

南来成咲
袋井市上山梨2-12-18
電話番号:0538-49-1438
定休日:水曜・第3火曜日
営業時間:11:00-14:00/17:00-21:00
Pあり