豚の旨みとごはんが寄り添う夕餉 静岡市「 ROKU」
静岡鉄道・日吉町駅から歩いて2分。オレンジが効いたインテリアが目に残る「ROKU」は、2015年に開業した小さな食堂である。店主はもととんかつ屋の料理人。豚肉に向き合ってきた目利きは確かで、ごはんと合わせることを基準に据えた料理の数々が並ぶ。まず顔を出すのは看板の「豚ロースのステーキ」。霧島山麓豚という、きめ細かな肉質と甘みのある脂を用い、表面をきつめに香ばしく焼いてからオーブンでしっとりと火を通す。180グラムの肉塊にかかるマスタードソースの酸味が、脂の旨みを引き締め、ごはんを止めさせない。

定番の「豚肩ロースの生姜焼き」は、薄切り肉にタレがよく絡むよう作られている。すりおろしたタマネギとショウガ、隠し味のハチミツが、たれの甘みと香りをつくり、噛むほどにごはんがほしくなる仕立てだ。ランチでの人気ぶりもうなずける。

ディナーには「豚バラ肉の赤ワイン煮」が鎮座する。前夜に赤ワインへ漬け込み、香味野菜とともにじっくりと煮込むことで、肉は崩れる寸前のとろける食感に。力強いソースはパンでもごはんでも受け止める。

昼限定の意欲作「若鶏むね肉のカツレツ」も見逃せない。むね肉を開いて生ハムとチーズを包み、香ばしく焼き上げてトマトソースをかける。鶏の軽さにチーズのコク、トマトの酸味が重なって、ごはんにも合う一皿へと転じる。

昼は“ごはんに合う味”、夜はワインと合わせる一皿。豚を知り尽くした料理人の仕事は、噛むたびに小さな幸福を運んでくる。

ROKU
静岡市葵区鷹匠3丁目22-7
電話番号:054-255-6655
定休日:日曜日・第3月曜日
営業時間:月~土曜日 11:30~14:00(L.O. 13:30)/17:00~22:00(L.O. 21:00)
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