ポルトガルの郷土料理を沼津の路地裏で 「ナザレ」
JR沼津駅近くにあるポルトガル料理専門店「Nazare(ナザレ)」。まずは現地のカフェ料理の定番「ビトッケ」。牛肩ロースを叩いて薄く伸ばし、軽やかに焼き上げたグリルステーキで、マスタードを効かせたソースが肉の甘みを引き立てる。薄く仕上げることで、口に入れたときのやわらかさと香ばしさが際立つ。

続くのは、ポルトガル人がこよなく愛するイワシのオーブン焼き。塩、コショウ、オイルのみのシンプルな味付けながら、ふっくらと焼き上がった身には、余計な脂が落ち、うま味が凝縮。添えられたパクチーをあわせると、爽やかさと香りが広がる。飾らない旨さだ。

この店の本領が発揮されるのが、郷土料理「豚肉とアサリのアレンテジャーナ」。豚肉をパプリカ麹風の調味料でマリネし、アサリとともに煮込む。海と陸の恵みが渾然一体となった味わいは、シンプルながら深い。

さらに豪快なのが「魚介のカタプラーナ」。鍋の名を冠したこの料理は、円盤状の金属鍋で魚介を一気に炊き上げる。エビやカニから出る濃厚なだしにトマトの酸味が重なり、ムール貝、アサリ、タコなどの旨みが重層的に溶け込む。

〆には、残ったスープでリゾットを。最後の一滴まで、ポルトガルの海を味わえる。

旅するように食すポルトガルの郷土料理。華美ではない、でも確かな記憶に残る食体験がここにはある。

Nazare
沼津市高島町28-7
TEL 055-916-0628
営 11:30~13:30/17:30~21:00
休 毎週月曜日/日曜日(第4は営業)※火曜日のランチ
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