市が市議を提訴…議案が可決 市議「提訴されたら応訴する」 反論の会見も… 静岡・沼津市

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 静岡県沼津市議が、市の土地を駐車場として貸し出していたとされる問題で、市が利益返還を求め提訴する関連議案は、16日の市議会で可決されました。これを受け17日、市議側が再び〝反論〟会見を開きました。

匿名の通報受け調べたら「2台分は市のモノ」

山下富美子市議(9月14日):「市に提訴された土地は私のものです」

沼津市建設部 杉山泰彦部長(9月27日):「本件土地は沼津市所有地ということで認識している」

 “駐車場問題”の渦中にいるのが、山下市議です。山下市議が「自身の所有する土地」として主張している父親から相続した沼津市内の土地。この土地は山下市議の父親が、およそ30年前から月決め駐車場として貸し出していて、周辺の土地も含めて現在は山下市議に相続されています。

 ところが去年、匿名の通報などを受け、市が駐車場を調べた結果、「2台分の土地が市の土地だった」ことが判明しました。

問題の駐車場
問題の駐車場

市は市議に「10年分の利益返還」求める

 市は山下市議に対し、10年間で得た駐車場の利益、およそ200万円を返還するよう求めましたが、山下市議はこれに応じず。市は「返還を求め提訴するための議案」を議会に提出しました。駐車場2台分の土地をめぐり、市が現役市議と法廷で争うことになるのか。その行方に注目が集まっていたのです。

市は「提訴」議案を議会に提出
市は「提訴」議案を議会に提出

「提訴」議案は可決

沼津市議会 髙橋達也議長(16日午後10時ごろ):「次に日程第26日第40号、不当利得返還請求事件の提訴を議題といたします」

 規則にしたがい、議場から出る山下市議。ちなみに、この議案が扱われたのは、タケノコ発言の影響もあり、議会が始まってからおよそ12時間後の午後10時でした。

建設水道委員会 浅田美重子委員長(16日午後10時ごろ):「双方の主張の根拠となる資料等の対応を鑑みると、不当利得返還等請求事件の提訴はやむを得ないものであり、市がこれまで適切に対応してきたと判断する。以上の点を主な理由として本議案に賛成であるとの意見があり、採決の結果、議・第40号については異議なく可決すべきものと決しました」

「提訴」議案は可決
「提訴」議案は可決

 建設水道委員会での採決の結果、この議案については全会一致で賛成。本会議にかけられる運びとなっていました。さらに、その後の賛成討論で、議員がこう付け加えます。

渡部一二実 沼津市議:「裁判となれば、相当な長期化も予測されるものでありますが、市税を投入することから、当局には相手側代理人を通じて、正式に和解に向けての協議の申し入れがあったならば、直ちに対応していただきたいことを要請するとともに、早期の決着を図っていただく努力を重ねていただきたい」

 和解も視野に入れた柔軟な対応を市に求めました。そして…。

沼津市議会 髙橋達也議長:「本件は委員長報告のとおり決することに賛成の方はご起立を願います。起立者多数と認めます。よって、議 第40号は可決されました」

頼重市長「打開のメド立たないのはよくない。裁判所の判断いただくのがいいだろうと」

 議会終了後、取材に応じた頼重市長は。
 
静岡・沼津市 頼重秀一市長(16日午後11時ごろ):「やはり、その解決ということの打開していくためのめどが立たなくなってしまう、このことは極めてよろしくないと我々としても判断をさせていただきました。やはり裁判所の判断をいただくということが、そのことの方がいいのだろうと考えさせていただいたところでございますし、残念ではございますがということでございますが、このような形になったということでございます」

静岡・沼津市 頼重秀一市長
静岡・沼津市 頼重秀一市長

山下市議「応訴するがその前に話し合いを」

 一方の山下市議は。

山下富美子沼津市議(16日午後11時前):「今回の決議は、私にとっては許されないことなので、あした、改めて“新事実”も含めてお話ししたいと思います。また、あすよろしくお願いいたします。以上です」

           

 そして、翌17日。山下市議が明かした“新事実”とは。

山下富美子沼津市議:「『物件移転補償契約書』。そこに支払った期日が、平成6年5月30日という確約書と同じ日付が記されている。物件移転補償契約が終わったあとに、この確約事項が履行されている」

 市への情報開示請求で見つかった新たな資料が、問題の土地周辺の事業に関する「物件移転補償契約書」です。そして、その資料に記されていた事業完了の日付が、山下市議が問題の土地が自身の土地だと証明する証拠書類「確約書」の日付と同じだったのです。

 山下市議側はこの日付の一致が、周辺一帯の道路工事が完了した証拠になりうるとし、「周辺工事がすべて完了したのに、問題の土地だけ払い下げていないのはありえない」と主張しています。

 そして、今後については。

山下富美子沼津市議:「提訴をされたら、もちろん応訴はするが、その前に十分な話し合いをしていただきたいのが、今の私の偽らざるきのうの(提訴の)議決を受けた私の感想です」

 泥沼の様相となった“駐車場問題”。双方の今後の動きにも注目が集まりそうです。

山下富美子沼津市議
山下富美子沼津市議